生態系生態学ゼミとは

このゼミは、発表担当者が興味を持った生態系生態学に関する最新で重要な論文を紹介するものです。       

2022年度生態系生態学ゼミスケジュール

2022-12-21
第15回 秦 倩凝
論文タイトル:
Impact of ecohydrological fluctuations on iron-redox cycling
Calabrese, S. & Porporato, A. (2019)
Soil Biology Biochem
土壌酸化還元を直接に表せる実測データが欠けている上、土壌水分を中心にして、その変動に引き起こされる土壌鉄と炭素のダイナミクスを組んだ、メカニズム的な視点から鉄の酸化還元をモデリングしたコンパクトな論文です。 実際の手法よりは、モデルの基礎となった、土壌鉄の酸化還元過程と土壌炭素貯留との関係を説明する機会にもなりますので選ばせて頂きました。

2022-12-14
第14回 水上 知佳
論文タイトル:
Root phosphatase activity aligns with the collaboration gradient of the root economics space
Han et al. (2021)
New Phytologist
細根ホスファターゼ活性の種間変異に影響を及ぼす要因として、土壌、葉の栄養塩、細根形質に注目し、特に細根形質による影響について詳しく考察しています。SEMを使った解析方法などが修論の参考になると思い、選びました。

2022-12-07
第13回 上坂 亮祐
論文タイトル:
Shifts in dominance and complementarity between sessile oak and beech along ecological gradients
Jacobs et al. (2021)
Journal of Ecology
ベルギーの温帯林において、フユナラ(sessile oak)とヨーロッパブナ(beech)の混生がお互いの成長にどのような影響を与えるのか、種間競争と環境条件、特に水分条件の観点に着目して考察した論文です。私の研究に関連して、コナラと同じブナ科コナラ属の樹木を題材としていたので興味を持ちました。私自身ヨーロッパの森林には詳しくないのですが、日本においてもブナ科の樹木(コナラ、ミズナラ、ブナなど)が同所的に生育している場所は多く、同様なことはあるのだろうかと考える機会にもなったので選ばせて頂きました。

2022-11-02
第12回 姜 琳子
論文タイトル:
Down-regulation of the bacterial protein biosynthesis machinery in response to weeks, years, and decades of soil warming
Sollinger et al. (2022)
Science Advance
Last week, we discussed the study of microbial community on environmental changes. To avoid redundancy, I chose another perspective - microbial function and metabolism. I didn't choose this article to emphasize complex biochemical processes or genatic analysis. However, you can learn from this article about the research of microbial functional methods and the changes of microbial metabolism/synthesis (such as protein synthesis) and other activities with the change of physical/chemical environment, as well as the impact on enzymatic activities. This article explained the relationship between environment and microbial activities from a molecular perspective, might provide a good reference when focusing on microbial function research in the future.

2022-10-26
第11回 楊 瀟弘
論文タイトル:
Composition and Diversity of Soil Microbial Community Associated With Land Use Types in the Agro?Pastoral Area in the Upper Yellow River Basin
Liu et al. (2022)
Frontiers in Plant Science
こちらの論文は農牧畜土壌の微生物群集構造を対象に議論していますが膨大なデータ量に対し、細く解析したので勉強になります。また、森林土壌との比較もあって興味深いとわたしは思います。

2022-10-19
第10回 長谷川 笑美
論文タイトル:
Allocation of foliar-P fractions of Alhagi sparsifolia and its relationship with soil-P fractions and soil properties in a hyperarid desert ecosystem
Gao et al. (2022)
Geoderma
中国西側にあるタクラマカン砂漠とチラオアシスの接面地域に分布するアルハギという種について、土壌リン濃度の異なる4地点それぞれで葉面Pや土壌Pの分画を行い、アルハギの葉面P利用戦略や栄養環境への応答について調べた研究。森林ではなく乾燥地帯の植生に注目した研究ですが、自身の研究のために行っているリンの分画実験と同じ方法で葉面リンの分画を行っており、考察の仕方や参考文献なども含め勉強になると思いこれを選びました。

2022-06-29
第9回 小松孝太朗
論文タイトル:
Recovery of aboveground biomass, species richness and composition in tropical secondary forests in SW Costa Rica
F Oberleitner et al. (2021)
Forest Ecology and Management
1968年まで遡る航空測量により、コスタリカ南西部の湿潤熱帯地域にある12の二次林において、地上部バイオマスの回復や樹種の豊富さ、樹種組成を近隣の原生林や以前の土地利用と関連付けて評価した研究。熱帯二次林の回復に関する研究は多くの場所でされているが、様々な環境パラメータが回復速度に影響を与えることを示した点で新しいと言える。 私の卒業研究であるBOLEHの超広域化モデルはAGBなどの時系列変化を見ることができることが強みであるため、攪乱後の地上部バイオマス、種の豊富さ、樹種組成の時間変化を見るこの論文の研究は、私の研究における生態学的な意義を探る助けになると思い選んだ。

2022-06-22
第8回 日下 真桜
論文タイトル:
Forest structure drives changes in light heterogeneity during tropical secondary forest succession
Matsuo T et al. (2021)
Journal of Ecology
メキシコの熱帯二次林において、遷移に伴う森林構造の変化が垂直方向・水平方向の光環境の変化にどのように影響するかについて、樹冠面積や樹冠の深さ、樹高などの構造に着目して調べた研究。 遷移の過程で森林構造と光環境が互いにどのように影響しているかについて考察しており、垂直方向だけでなく水平方向での光不均一性についても述べられていたことと、自身の研究のために行った調査とほぼ同じ方法で光環境の測定が行われていたことから興味を持ちこれを選びました。

2021-06-15
第7回 上坂 亮祐
論文タイトル:
Not all trees can make a forest: Tree species composition and competition control forest encroachment in a tropical savanna
Samuel et al. (2021)
Journal of Ecology
ブラジルのサバナにおいて、サバナ気候にのみ適応的な樹木種が、種間競争を通して様々な環境で生育できる樹木種に置き換わっていく現象について、樹木の成長率と死亡率の違いに着目し調べた研究。 この論文では、観察された植物をspecialistとgeneralistに分け、それぞれの性質が種間競争にどう影響するのか考察しており、自身が植生を解析する上で個々の植物の性質を考慮する重要性を改めて感じたため選びました。

2021-06-08
第6回 水上 知佳
論文タイトル:
Linking ecological niche models and common garden experiments to predict phenotypic differentiation in stressful environments: Assessing the adaptive value of marginal populations in an alpine plant
Lopez et al. (2022)
Global Change Biology
この論文は生態学的ニッチモデルと共通圃場実験を組み合わせることで、高山植物のSilence ciliataの分布を決める環境要因や、 開花フェノロジーや葉細胞の異常温度への耐性といった遺伝的な表現型の形質分化を調べた研究です。植物における気温などの環境条件への適応プロセスを明らかにすることは、 気候変動による環境変化や個体数の変動を予測するうえで重要であると考えられています。生態学的ニッチモデルについて詳しく知りたいと思ったことと、研究デザインなどが今後の参考になるのではと思い選びました。

2021-06-01
第5回 鳥羽 生真
論文タイトル:
Climate and crown damage drive tree mortality in southern Amazonian edge forests
Reis et al. (2022)
Journal of Ecology
樹木の枯死は森林の衰退や炭素循環について詳しく理解するために重要であるが、データ収集が困難であることからその要因についてはほとんど知られていない。 この研究ではアマゾン南端の森林において樹木の死亡率を大規模に評価し、それを決定する要因について考察されている。森林の衰退について研究する自分の修論テーマと関連があり、樹木死の評価手法などが参考になるためこの論文を選んだ。

2021-05-23
第4回 姜 琳子
論文タイトル:
High stability and metabolic capacity of bacterial community promote the rapid reduction of easily decomposing carbon in soil
Huang et al. (2021)
Communications biology
Using a very interesting translocation experimental design, this paper analyzes the stability of component C in soils with different initial organic matter content and its relationship with the response of major decomposers to climate warming. In this paper, a large number of experiments and data processing methods are combined to comprehensively study the microbial community compositions, metabolic capacity and SOC chemical structure. The results suggest that the higher sensitivity of soils with high organic matter content to climate change is related to the stability and metabolic capacity of major bacterial decomposers, which is important for predicting soil-climate feedback.
2021-05-11
第3回 芝 里万杜
論文タイトル:
Immobilization of tissue iron on calcareous soil: differences between calcicole and calcifuge plants
Angelika Zohlen and Germund Tyler (2000)
OIKOS
石灰岩地質によく見られる好石灰植物(calcicole)、ほとんど見られない嫌石灰植物(calcifuge)について、石灰質土壌と酸性土壌を用いて栽培実験を行い、 好/嫌石灰植物中の鉄の動態・画分にどのような違いがあるのか、分析した研究。石灰岩植生について研究している自分の研究との関連が深く、また、葉内の鉄を二価と三価に画分して分析・考察している点が興味深かったため、選びました。
2021-04-27
第2回 秦 倩凝
論文タイトル:
Linking vegetation and soil functions during secondary forest succession in the Atlantic forest
Teixeira et al. (2020)
Forest Ecology and Management
森林遷移に伴なう土壌機能・理化学性の変化を見る研究の一つ。特に斬新な解析手法を使うよりは、四つのecological hypothesesに基づいて変数選択とパス解析(共分散構造分析)を行い、 複雑な関係性のわりにしっかりとしたディスカッションが出来ています。植生−土壌の相互作用について研究している方にとっては、参考になれる論文だと思ったため選びました。
2021-04-20
第1回 竹重 龍一 
論文タイトル:
Assessing the growth and climate sensitivity of secondary forests in highly deforested Amazonian landscapes
Elias et al. (2020)
Ecology
アマゾンの高度に森林減少が進んだ地域において、二次林の回復が非常に遅くなっていることを報告した研究。 熱帯二次林の回復可能性について研究している自分の研究に関連しているのと同時に、結果から導かれる論文のメッセージが明確で、なおかつ使用している手法が簡単で、新4回生にも理解しやすいであろうと思ったため。