生態系生態学ゼミとは
このゼミは、発表担当者が興味を持った生態系生態学に関する最新で重要な論文を紹介するものです。
2023年度生態系生態学ゼミスケジュール
- 2023-11-29
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第14回 宮崎 芙美子
論文タイトル:
Stoichiometry of ferns in Hawaii:implications for nutrient cycling
Kathryn L. Amatangelo et al.2008
Oecologia
シダや木本双子葉植物を化学量論に関して比較し、栄養循環への影響について調べています。
- 2023-11-1
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第13回 高橋 道
論文タイトル:
Arbuscular Mycorrhizal Fungi Associated with Tree Species in a Planted Forest of Eastern China
Jinping Wang et al.2023
Forests
アーバスキュラー菌根は森林生態系において植物群落の形成・維持に重要な役割をはたしています。多くの先行研究は自然林におけるアーバスキュラー菌根について調べている一方、植林地にはあまり関心を向けてきませんでした。本論文では植林地において樹種と関連したアーバスキュラー菌根、栄養的要因とアーバスキュラー菌根群集の関係を調べています。 卒業論文を書く際の助けになると思い、選びました。
- 2023-10-25
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第12回 虎太 華穂
論文タイトル:
Impacts of climate change and anthropogenic activities on vegetation change: Evidence from typical areas in China
Kaiyuan Zheng et al.2021
Ecological Indicators
これまでの研究で、植生が変化する要因には気温や降水量などの自然条件の変化、伐採などの人為的な変化などがあることがわかっています。この研究では、植生が変化する要因として、自然的・人為的要因の双方に着目している点が研究の新規性として挙げられています。
- 2023-10-18
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第11回 須原 健仁
論文タイトル:
Variations in leaf economics spectrum traits for an evergreen coniferous species: Tree size dominartes over environment factors
Zhili Liu et al.2019
Functional Ecology
多くの葉の形質は樹木の大きさや環境要因によって大きく変化しますが、森林樹木の葉の形質の種内変動に対するこれらの要因の重要性が同時に評価されたことはほとんどありません。本研究は自然林のチョウセンゴヨウを対象に樹木サイズが葉の形質における種内変異の重要な要因であるか、樹高と直径のどちらが葉の形質に影響するかを検証した研究です。 種内変異の要因について樹木のサイズ効果と環境要因の影響を複合的に検討しており、葉の形質変異とそれに伴う解析を理解する上で参考になると思い、選びました。
- 2023-7-5
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第10回 竹重 龍一
論文タイトル:
Forest disturbance and recovery in Peruvian Amazonia
Suarez et al.2023
Global Change Biology
ペルーのアマゾンにおいて、大規模なプロット調査データとLandsat時系列解析を用いて、熱帯林の回復に影響を及ぼす要因を解析した論文です。 地上調査とリモートセンシングとを組み合わせて、過去の撹乱強度が現在の森林の回復に及ぼす影響について論じています。 自分が博論で行ったマレーシアでの研究と共通点が多い上に、現在研究室の複数メンバーで進行しつつある”大規模調査データを用いた森林生態学研究”の一種であるため、解析・データ処理・議論等参考になる点も多いかと思い選びました。
- 2023-6-28
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第9回 鳥羽 生真
論文タイトル:
Short-term effects of moderate severity disturbance on forest canopy structure
Choi et al.2021
Journal of Ecology
中程度の撹乱は森林生態系の動態において重要な役割を持ちますが、撹乱の強度や種類が与える影響の違いについてはほとんど知られていません。 この研究ではアメリカ国立科学財団(NSF)のNEONプロジェクトによって継続的に記録されたLiDARによる測定と地上観測データを用いて、(1)異なるタイプの撹乱が樹冠構造の変化を抑制するのか促進するのか、(2)初期の樹冠の複雑さが樹冠構造に大きな影響を与えるか、について調べられています。 撹乱が樹冠の経年変化に与える影響について多次元的に解析が行われており、リモートセンシングや森林動態の理解の参考になると思い、この論文を選びました。
- 2023-6-21
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第8回 芝 里万杜
論文タイトル:
Empirical support for the biogeochemical niche hypothesis in forest trees
Sardans et al.2021
Nature ecology and evolution
生物地球化学的ニッチ仮説を、192の論文の葉の栄養塩濃度のデータをもとに検証した論文です。 生物地球化学的ニッチ仮説とは、機能的に異なる生物間では、その生物の各栄養塩濃度(elementome)も大きく異なっており、これを「生物地球化学的ニッチ」として定量的に捉えることができるのではないか、という仮説です。 樹木の葉栄養塩濃度(N,P,K,Ca,Mg,S)のばらつきについて、@系統、A気候や土壌などの非生物的要因、B同所的に生育する樹木などの生物的要因が、どれくらい説明できるのかを、系統解析やベイズ解析を用いて調べています。 土壌理化学性と樹木の栄養塩利用を扱う上で、参考になると考えたため、この論文を選びました。
- 2023-6-14
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第7回 佐々木 祐太
論文タイトル:
Microclimate edge effect in small fragments of temperate forests in the context of climate change
Hofmeister et al.2019
Forest Ecology and Management 448
農地により断片化された森林について、地理的空間的条件と森林内の気温及び土壌温度の関係性について調査しています。 人為的影響の調査と多変量解析という点で、自分の修士研究と関連があるため本論文を選びました。
- 2023-6-7
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第6回 日下 真桜
論文タイトル:
Branch architecture in relation to canopy positions in three Mediterranean oaks
Mediavilla et al.2023
Oecologia 201:915-927
樹木の枝葉の構造は光獲得に影響する重要な要素であり、樹木個体はより多くの光を得るためにその構造を環境に合わせて変化させると言われています。その一方で、葉が強光に晒されるストレス環境下においては、光阻害を防ぐために自己遮光に関する構造的なメカニズムが存在する可能性があります。 本研究では3種の樹木について、樹冠内の異なる位置に存在する枝の3Dモデルを作成し、その構造特性の種内・種間の差異や光獲得などに与える効果について考察しています。 これまで自分の研究では光獲得量を増加させ、獲得効率を上げるための構造について考えてきたため、それとは逆に光阻害を避け光を取りすぎないように調整する構造的な仕組みに着目しているという点に興味を持ちました。また枝・葉の大きさや密度など、調べてられている項目がそれほど複雑なものでないことから、本論文を選びました。
- 2023-5-31
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第5回 Yang Xiaohong
論文タイトル:
Microbial carbon use efficiency along an altitudinal gradient
Mganga et al.2022
Soil Biology and Biochemistry 173
タイトルから論文構成、結論に至るまでシンプルで理解しやすい文章かと思いますが微生物炭素利用効率(carbon use efficiency: CUE)という、土壌有機物分解に対し微生物の役割を理解するために重要な概念を丁寧に解説した上、測定方法も詳しく記述されています。生態系において微生物活動に興味を持つ人はもちろん、特に化学量論に関心がある人にとっては勉強になる内容は少なくないと思います。
- 2023-5-24
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第4回 小松 孝太郎
論文タイトル:
Tree height in tropical forest as measured by different ground, proximal, and remote sensing instruments, and impacts on above ground biomass estimates
Laurin et al. 2019
International Journal of Applied Earth Observation and Geoinformation 82
樹高は森林生態学や地上バイオマス推定に重要な構造特性であり、特に熱帯林のような密林では、フィールドで正確に測定することが困難とされています。そこで、本研究では地上レーザースキャン(TLS)、空中ライダースキャン(ALS)、ステレオ写真測量(無人航空機に搭載されたRGBカメラによる画像)の3つの手法による樹高推定が、伝統的な地上調査による樹高推定の結果との比較も含めて行われました。 修士論文では熱帯林のドローン画像(ステレオ写真測量)から樹高などの情報を抽出して解析に用いる予定であるため、研究を始める前にステレオ写真測量を他の技術と比較した際の利点・欠点などの基礎的な情報を理解する良い機会であると考え、本論文を選びました。また、普段リモートセンシング技術に馴染みのない方でも直感的にわかりやすい内容(細かい手法などはわかりにくいところもある)であると考え、本論文を選びました。
- 2023-5-17
第3回 水上 知佳
論文タイトル:
Elevational trends of tree fine root traits in species-rich tropical Andean forests
Pierick et al.2023
Oikos
樹木の細根形質が土壌栄養条件の影響を受けて、標高傾度に沿って獲得的形質から保守的形質に変化することを調べた論文です。根からの栄養獲得は研究室で行われている重要な研究テーマの1つです。葉形質のトレードオフについてはよく知られていますが、根形質と栄養制限の関係についても皆さんに紹介できればと思い選びました。
- 2023-5-10
第2回 姜 琳子
論文タイトル:
Distinct Responses of Abundant and Rare Soil Bacteria to Nitrogen Addition in Tropical Forest Soils
He et al. 2023
Microbiology Spectrum Volume 11 Issue 1
Although the impact of nitrogen deposition on microbial communities has been studied in the past, it is rare to divide microbial communities into abundance taxa and rare taxa, combined with community dynamics and assembly processes for research. In addition, the impact of different time limits (both short-term and long-term) has also provided more interesting results for the entire study.
- 2023-4-27
第1回 秦 倩凝
論文タイトル:
Tropical forests post-logging are a persistent net carbon source to the atmosphere
Maria B. Mills, Yadvinder Malhi, Robert M. Ewers, +11, and Terhi Riutta. (2023)
PNAS 120 (3)
これまで熱帯二次林は生産性が高く、炭素吸収の機能をもつと考えられてきた。この研究は先行研究で評価されてこなかった伐採が土壌の炭素動態へ与える影響を考慮している。熱帯二次林は地上部の生産性は高いが、攪乱によって生じた枯れ木や倒木、土壌有機物の分解によって従属的な呼吸が高まるため、全体の炭素収支はプラスになり炭素供給源であることを明らかにした。渦相関法とプロット調査を用いた評価手法やこの論文が熱帯林の伐採管理へ与えるインパクトなどについて活発なディスカッションを行いました。新4回生が配属されてから初めての論文セミナーであるため、このセミナーの後には論文の探し方や読み方をレクチャーする講習会を開催しました。
